東京日記

東京の気になったものについて書いてます。『東京写真10選』全100編公開中

東京写真10選その84(渋谷編)

こんばんは一流です。今日は渋谷をご紹介します。まだ歩いてなかったのかよ~。

 

 

 

 

なんで今まで歩いてなかったんだろうって街、渋谷がようやく登場です。本来は84回目で出てくるような街ではないはずですが、自然と今まで避けてしまっていた自分がいました。新宿などを歩いた時にも説明しましたが、よく訪れる街というのは気になるものを集めるこの企画では不向きな部分があるんですよね。見慣れた街並みでは気になるものを見落としてしまう可能性が増えるからです。ですが100年に一度の再開発が行われている渋谷を今歩いてみることは大きな意味があると思ったので意を決して歩いてみました。見慣れた街もちょっと注意深く観察すると面白いものが見えてきますよ。

 

 

 

 

 

 

1.

 

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まずはハチ公...ではなくその向かいにある緑の電車です。

待ち合わせの時に「緑の電車の前にいるよ!」と言ったことのある方も多いのではないでしょうか。改めて考えるとこんなところに車両が置いてあるのは気になりますね。愛称を青ガエルというこちらの車両はかつて東急東横線で使われていた車両の一つです。2006年から新たな渋谷の顔となっており、現在は観光案内所として使われています。中に常駐しているスタッフが外国人観光客などに案内を行なっています。電車の椅子やつり革をそのまま残した内装と、展示されているかつての渋谷の資料などを楽しむことができます。雨の日や日差しの強い日などハチ公前に早く着いてしまった時はこの中で待つのも良いでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

2.

 

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もう一つの待ち合わせの定番スポットです。

ハチ公とは反対側の出口にあるモヤイ像です。このモヤイ像のルーツはかつて蒲田を歩いた時にご紹介したものと全く同じものです。

東京写真10選その45(蒲田・京急蒲田編) - 東京日記

蒲田のものと同じく伊豆諸島の新島から寄贈されたものですが顔立ちはだいぶ異なります。実は後ろ側に回り込むとまた別の顔があるという面白い作りをしています。1980年から渋谷の顔となりそれ以来開発の進む渋谷の街を見守り続けてきました。蒲田と浜松町のものと合わせこれで都内にある3つの全てのモヤイ像を紹介することができました。コンプリートを目指していたわけではないですが、全て揃うのってちょっと楽しいですよね。

 

 

 

 

 

 

 

 

3.

 

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明日の神話」です。

これも渋谷駅を利用したことのある人なら一度は目にしたことがあるでしょう。岡本太郎の最大にして最高の傑作と呼ばれる「明日の神話」は原子爆弾によって焼かれる人間を描いたものです。特にモデルとなっているのは第五福竜丸の水爆被曝事件と言われており、中央に描かれる骸骨のような人間は核に対する人間の怒りを強く表現しています。本作品はもともとメキシコで作られ現地のホテルに飾られる予定でしたがホテルが倒産したことにより長い間行方不明となっていました。太郎の秘書でありパートナーであった岡本敏子によりメキシコの資材置き場に放置されていたところを発見され、その後多くの人の目に触れる場所としてこの渋谷駅に飾られることになりました。設置が完了したのは2008年のことですが、なんだか感覚的にはもっとずっと前からあるような気もします。原宿を歩いた時にご紹介しましたが、岡本太郎は表参道の近くに住んでいたため渋谷には縁があり、ここ以外にも国連大学の前などにも彼の作品が残されています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4.

 

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どストレートなところに来ました。

センター街もといバスケットボールストリートです。未だに浸透率が低いバスケットボールストリートという新名称が付けられ早8年になります。渋谷カルチャーの中心地として古くから若者たちの聖地として栄えているこの場所は、かつてこの街を流れていた宇田川を埋め立てた暗渠の上に作られた通りです。そのためこのあたりは渋谷区宇田川町という町名がいまだに残されています。宇田川の暗渠化が行われたのは1960年代のことですが、川が無くなると同時に駅前の区画整理事業もスタートしました。繁華街として多くの店が作られるとその後チーマーやコギャル、ガングロなど当時の最先端スタイルをいく若者たちが集う場所として進化を遂げ今に至ります。今ではハロウィンや年末のカウントダウンなど何かあるととりあえず集まる場所となっています。東京のあらゆる街を歩いていますがそんな共通認識がある場所はここ以外にはないと思います。人を惹きつける力がある土地という事なんでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5.

 

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金王八幡宮に来ました。

渋谷は若者カルチャーだけの街ではありません。渋谷駅から徒歩5分という一等地に建つこちらの神社は15代天皇応神天皇を祀る八幡です。創建は1092年と900年以上もの歴史を持つ由緒正しき神社で、渋谷の街を語るにおいては避けては通れない場所です。ここにはかつて渋谷城という城があり、当時の天皇から渋谷の姓を授けられた渋谷氏が城主となっていました。現在も流れる渋谷川が水堀として城を守っていたと言います。平安時代から渋谷の総鎮守として栄華を誇っていましたが、室町時代北条氏綱の関東侵攻の際に焼き払われ渋谷氏も滅んでしまいました。現在はこの金王八幡宮の境内に渋谷城の城とされる石が一つ残されているだけです。こんな場所にお城があったとは今の渋谷からはとても想像できないですが、この渋谷城こそが人で賑わう渋谷の起源とも言える場所なのでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

6. 

 

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渋谷駅の北側にある高架下のトンネルに来ました。

駅の東側と西側を移動できる隠れた近道です。トンネルの中が駐輪場になっている珍しい作りをしています。雨風をしのげていいですね。このトンネルの気になるポイントはドラマやミュージックビデオに度々登場していることです。落書きや薄暗い感じが繁華街らしさを醸し出しているためか怪しい危なげな雰囲気を出すような場面でよく使われているような気がします。実際は駅に近くそこそこ人通りもあるためそこまで危険な感じはしませんが、夜中とかに通るのはちょっと避けたほうがいいかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

7.

 

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渋谷のんべい横丁に来ました。

先ほどのトンネルを抜けると見えてくる渋谷のディープな一面です。渋谷駅やヒカリエが目の前の通りから少し路地裏に入るだけでまるでタイムスリップしたかのようなレトロな居酒屋街が現れます。この狭いエリアには38もの飲み屋が集結しており、外国人観光客なども多く訪れる隠れた観光スポットでもあります。もともとは第二次大戦後、空襲によって更地となった渋谷に出ていた屋台が集まったことが起源とされます。その後幾たびもの再開発により渋谷の街は進化していきましたがこの一角だけはポツンと昔の面影を残したままです。雰囲気はディープですが一見さんでも気軽に入れるお店ばかりで美味しいお酒と料理を手軽に楽しむことができます。渋谷らしい遊びに飽きた方はここで大人の渋谷の楽しみ方をしてみるのもよいでしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 8.

 

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気になる建物です。

いっつもこの近くを通るたびに気になっていたので撮ってみました。煉瓦造りで窓がなくピラミッドのようにも見える面白い作りです。入り口に近づいてみると三基商事東京支店との文字が。三基商事とは社名だけ聞くと聞きなれない会社かもしれませんが、あのミキプルーンを作っている食品加工会社です。ミキプルーンのミキは社名の三基だったんですね。設計は永田祐三氏によるものです。彼はピラミッドや古代遺跡などの造形を好んでおり、この建物にもその思想がよく反映されていることがわかります。

 

 

 

 

 

 

 

 

9.

 

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写真中央にある丸い屋根をしたガラス張りの建物に注目です。

こちらはシダックスカルチャーホールというシアター型のイベントスペースです。中には講演会や式典、立食パーティなどが行える設備が揃っています。ただ私にとってはこの建物にかつて入っていた施設の方が思い入れがあります。この建物はもともと電力館という東京電力の企業博物館でした。中には電力を様々な形で学べる展示が充実しており、子供の頃何回か訪れた私ははしゃぎまくっていた記憶があります。2010年に改装工事が行われ翌年3月に新装開館予定でしたが開館直前に東日本大震災が発生。東京電力の施設ということもあり開館は延期され結局そのまま閉館の憂き目にあってしまいました。その後シダックスに貸し出され今に至ります。リニューアルされた展示内容が誰の目にも触れることなく終わってしまったのは仕方ないとは言え少し悲しいですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

10.

 

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最後は宮下公園で締めましょう。

久しぶりに来たらなんだか悪の組織のアジトみたいになっていました。宮下公園にも現在再開発の波が押し寄せています。1948年に駐車場の上にある空中公園として作られた宮下公園は渋谷にある貴重な緑生い茂る空間として長い間多くの人の憩いの場となっていました。しかし空中公園という特殊な構造上、どうしても建築部分の老朽化や耐震不安が叫ばれていました。そこで現在東京オリンピックに向け世界に発信できる素晴らしい公園にしようと大幅な改装工事が行われています。今夏には開業予定となっており完成予定図を見てみたのですがアーチ状の天井に植物が生い茂るとても幻想的な外観でびっくりしました。早く自分の目で見たいですね。成長し続ける渋谷の街を実感できるよい一例でした。

 

 

 

 

 

 

ということで渋谷を歩きました。数ヶ月後にまた歩いたらきっと大きく景色が変わっていることでしょう。

来週はある公園が駅名になっているところを歩きます。お楽しみに。

 

 

 

 

 

おわり