東京日記

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カイロ・レンという男

こんばんはリューイチです。

今回はスターウォーズ「フォースの覚醒」の感想を書いちゃいます。

※ネタバレ注意です。

 
 

 

 
 
この映画一言で言えばズルいです。
 
世界中のスターウォーズファンが興奮するポイントを完全に理解していて、そこをこれでもかといわんばかりに見せ付けてきます。
わざとらしいくらい「どうだ、これで喜ぶだろう?」と言うシーン満載ですが、それでいいのです。
そこを素直に喜んじゃうのがスターウォーズファンなんです。
 
 
 
鑑賞後はこの作品を作り上げてくれたJ.J.エイブラムス始めエンドクレジットに出ていた人達全てに感謝の感情しか浮かびませんでした。
 
ああ、本当にありがとう…。
 

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「フォースの覚醒」は新三部作の最高のスタートだったと言っていいでしょう。
スターウォーズにおける設定やお約束を忠実に守りながらも、全く新しいスターウォーズを私たちに見せてくれました。
 
 
 
私はその最も象徴的なキャラクターはカイロ・レンであると感じました。
というかおそらくほとんどの人が彼のキャラクターの特異性に気がついたはずです。
 

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彼のことを話すにはスターウォーズのそもそものテーマから話さなくてはいけません。
 
 
スターウォーズがこれまでエピソード1〜6を通して描こうとしていたものは、宇宙空間でのバトルやライトセーバーの殺陣ではありません。
もっと身近で、誰もが共感できる人間ドラマです。
 
宇宙という最も壮大な舞台を設定していながら、
真のテーマとして描かれているのは揺れ動く人間の小さな感情なのです。
 
スターウォーズの登場人物はみな迷いを持ったキャラクターばかりです。
彼らは心の葛藤を抱えながら、もがき苦しみそれでも前へと進んでいきます。
それはジェダイであれ異星人であれドロイドであれ関係ありません。
遥か彼方の銀河系に暮らす人々も、私たちと同じ生きている感情を持ったキャラクターとして物語に登場しているのです。
 
 
 
そしてシリーズを通してその揺れ動く感情の根底にあるものが家族の存在でした。
 
兄弟や夫婦、そして何より親子の存在スターウォーズでは深く描かれていることは言わずもがなです。
 
スターウォーズではすべてのエピソードで家族との離別、再会が必ず描かれています。
それらに直面した時、人間の感情は大きく揺れます。
目を背けたくなるような、胸が張り裂けそうな現実が待っていることもあります。
そのせいで迷いが生じ、人として弱くなってしまうこともあるかもしれません。
しかしそれでもそれを受け入れて人は成長していくのです。
 
 
ジェダイの精神は、こうした全てをあるがままに受け入れることをよしとしています。
オビ=ワンやヨーダは今際の際に自らの死すら受け入れフォースと一つになりました。
 
家族のために人の心がぶれてしまうのは仕方のないことです。
むしろその心のぶれこそが人の強さの証なのです。
辛いことでもあるがままに受け入れて、
もがきながらも成長していくことが人間としての強さなのです。
 
 
しかし時として、辛いことから目を背け逃げ出したくなる誘惑がやってきます。
それこそがダークサイドです。
 
スターウォーズを見ていると、シスの暗黒卿の方がジェダイ達よりも精神的に強いように見えたことはなかったでしょうか?
シスの暗黒卿が悩みや後悔を持つ描写はエピソード1~6では一度たりともありませんでした。
彼らは確固たる自信を持ってジェダイに戦いを挑んでくるように見えます。
しかしその自信はただのまがいものです。
なぜなら彼らは人間として持つべき葛藤を捨てているからです。
 
嫌なことから目を背け過ごすのは居心地のいいものです。
自らが犯している罪から目を背け続けてもダークサイドにいれば許されます。
それはシスの暗黒卿に歪な自信を与えます。傲慢さといっても良いかもしれません。
 
 
かつて高貴なジェダイマスターであったドゥークー伯爵はダークサイドに堕ち、かつての師であるヨーダに向かって次のようなセリフを言っています。
 
『I have become more powerful than any Jedi, even you.』

(私はもはやどのジェダイよりも強い。あなたよりも。)

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そして暗黒面に堕ちた直後のアナキンもオビ=ワンに向かって次のように吠えます。

 

『You underestimate my power!』

(僕の力を見くびるな!)

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こうした言葉に裏打ちされるように、ダークサイドに堕ちたものは現実から目を背けるあまり根拠のない傲慢さを手に入れてしまいます。
傲慢さを持たなければ、自分は間違っているのではないかということが頭をよぎってしまうからです。
辛いことから逃げ続けるためには自分を騙し偽りの自信を手に入れるしか方法はないのです。
 
だからこそスターウォーズの歴史上、ダークサイドからライトサイドに帰還した者はたった1人しかいませんでした。
ライトサイドに帰還することは自ら犯した罪に正面から向き合うことと同義です。
ずっと逃げ続けてきた者が、自分が間違っていたことを認め、その罪を償うことは恐ろしく勇気のいることです。
アナキンがこれを成し遂げることができたのは息子の存在があったからでした。
 
ルークはダース・ベイダーが父親だと知った時、ひどく取り乱しその事実を拒もうとしました。
しかしヨーダやオビ=ワンとの対話を経て、父親がダークサイドに堕ちたということをあるがままに受け入れることに決めたのです。そしてそれでもなお父親を信じ抜くことで、アナキンにジェダイの精神を呼び覚ます奇跡を起こすことができたのです。
 
これぞスターウォーズの描いた究極の家族愛と呼べるでしょう。
家族が過ちを犯しても、家族を失ったとしても、そのせいでどれほど心が乱れたとしても、あるがままに受け入れて、愛して、信じて、人は強くなっていくのだと。
それこそがライトサイドと呼ばれる目指すべき精神なのだと。
スターウォーズがすべてのエピソードを通して描きたかったのは、家族愛が障害を乗り越えていく強さを持っているという不変のテーマなのです。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
なのにカイロ・レンは!!!!!!!!!!!
 
 
 
 
 
この!!!!!!!!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
クソ!!!!!!!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
ドラ息子は!!!!!!!!!!
 
 
 
 
 
 
 
 
 
カイロ・レンは本当に弱いキャラクターです。
スターウォーズ史上最も幼稚で不安を抱えているキャラクターと言えるでしょう。
『フォースの覚醒』がこれまでのスターウォーズと大きく異なっているのはこの点です。
つまりダークサイドにいる者の方が精神的に弱く描かれていることです。 
 
 
 
『フォースの覚醒』に登場した味方のキャラクターはみな心の強さを持っていました。
 
 序盤にはフィンがいきなり裏切り行為を行います。これは規模は小さいですが、アナキンがライトサイドに帰還したことと同じ意味を持ちます。自らの過ちを悔い、その罪を償う決意をしたのです。
 
 レイも突如身に降りかかった冒険を受け入れ、自らの意思で敵に立ち向かう勇気を見せつけました。
 
 ハン・ソロに至っては、かつてのルークのように、ダークサイドに堕ちた家族を受け入れ、正面から向き合うことを決意するという真の心の強さを見せつけてくれました。
 
 
 
 
なのにカイロ・レンは本当にどうしようもありませんなんなんだよこいつ。
 
 
よく見てみるとカイロ・レンを構成するすべての要素が彼が未熟であることを示していました。
 
まずライトセイバー。十字架型であることは意味深ですが、彼のライトセイバーは古代の製法を用いており、レーザーの出力が不安定です。まるで彼の精神状態のように。
フォームも片手でくるくると回すところは最強のフォームであるジュヨーやヴァーパッドを思い起こさせましたが、完成度はめちゃくちゃで、初めてライトセイバーを握った小娘にあっさりやられてしまいました。
 
フォースの使い方も特徴的でした。序盤でブラスターのビームを止めるという技を見せたときはオッと思ったものです。人や物の動きを固定するというフォースの使い方はこれまでほとんど描かれてこなかったものですから。しかしレイに対してフォースで動きを止めて無抵抗の状態にしてから近づくというのはいくらダークサイドといえど卑劣で幼稚な行為に見えます。
 
また性格も癇癪持ちで、トルーパーたちに微妙にひかれていました。 
レイに逃げられ、「マズい...」と言いながら焦っているところはとてもダークサイドの人間とは思えません。
 
ライトサイドに惹かれそうになった時、ダース・ベイダーのマスクの前で所信表明をするのも意味がわかりません。そいつライトサイドに帰還した唯一の張本人だぞ。
 
 
 
 
つまり私が最も気になるのはなぜ彼がダークサイドに堕ちたのかということです。
自分を押し殺してまで、家族を手にかけてまでしてなぜ彼はダークサイドでありつづけようとするのでしょうか。
 
ルークからジェダイとしての修行を受けている途中にダークサイドに堕ちたという話でしたが、ここで気になるのはルークがそのせいで姿をくらましたという部分です。あのルークが。
 
自分の父親がダークサイドに堕ちたことをも受け入れ、正面から向き合ったあのルークが、いくら甥っ子とはいえ弟子の一人がダークサイドに堕ちただけでその現実から逃げてしまうのはあまりに不自然です。
 
 
いったい過去になにがあったっていうんだ.....。
 
 
 
 
『フォースの覚醒』には「家族の愛と喪失の物語」との謳い文句がありました。
考えれば考えるほど深い言葉です…。
 
 
ああ早く次のエピソードが見たい....。
 
 
 
スターウォーズでは、公開順にエピソードタイトルでジェダイシスにまつわる事柄を交互に繰り返していることは有名な話です。
 
4.新たなる希望→5.帝国の逆襲→6.ジェダイの帰還
1.ファントムメナス(見えざる脅威)→2.クローンの攻撃3.シスの復讐
7.フォースの覚醒→
 
ということは次はダークサイドにまつわるできことが…?
 
 
 
 
カイロ・レンはスターウォーズ史上初めて家族を殺めるという禁忌を犯してしまいました。
スターウォーズの根幹のテーマを揺るがしかねない可能性を持ったこのカイロ・レンというキャラクター、彼がこれからどのように自らの運命と向き合っていくのかという部分に最も注目しながら次回作を楽しみに待ちたいと思います。
 
 
おわり。